データ分析を考える文系エンジニアのブログ

データ分析に関することを広く浅く...

業界構造と人材

そもそもブログを書き始めた理由、タイトルにもあるようにデータ分析を考えることを趣旨ですが まったくその記事を書いていなかったので、そろそろ本題について考えていきたいと思います。 (いつか本を出すのが夢みて…笑)

私は新卒でSIerにて分析系のシステム導入/構築をやっているが、"組織における分析システム導入" というのはいうのは簡単だが、本当に幅が広いし奥深いものだと最近になって痛感している。 しかしながら、様々な制約から真に顧客のための分析システムを作れていないと思う。ここでは 現状を悲観的に見て、改善の方針について検討することができればと思う。

まずは日本の分析システム導入における市場構造と人材に関する観点から考えてみる。 構造については様々な図書があるが、

市場構造

日本のSIはガラパゴスだといわれるが企業の情報システム部に対してSIerがシステム導入を (御用聞きのように)請け負い、開発は下請けSIerに捌いていく。顧客の情報システム部は基本的に 既存システムのお守りしかせず、もちろんプロジェクトマネジメントもしないため、SIerがまるっと 企業の戦略構想やユーザー部門へのヒアリングを行い。システム導入を行う場合がほとんどだ。 SIerのレベルが低いと、下請けSIerにそのまま投げられることもある。

また基幹システムと異なり投資対効果が見えにくいことから、予算は抑えられることが常で、 計画や見積もりも難しいことから、ふわっとした方針や要件のまま、RFPなどが出されむちゃくちゃなまま プロジェクトが始まる場合も多い。さらには契約が請負で行われる場合も多く、そうなってしまったら 炎上必須である。(私はその経験が非常に多い…)

人材

基本的にプロジェクトごとにメンバーがアサインされ、開発完了後には解散される。 そもそもSIerの人材はあまり優れていない場合が多いと感じる。 なぜなら日本のSIerに属するプロジェクト管理者・開発(一般的にSEと呼称される人達)は 情報工学出身でない、社会人になってから初めてプログラムを書く人が多い。もちろんプロ意識が 高く入社してからプログラミングの腕を磨いてさまざまな言語を操れる人もいるが、大多数の人が 生業のために仕事をしている人(私はそんなSEを素人エンジニアと呼んでいる)が大多数である。 そして顧客のビジネスにも興味はない。

そんなわけであるから、必然と凝ったものというのは出来上がらない。設計されたものを作ればいい という風習がある。設計は比較的年次があり、なかでもデキルSEが行うためそれなりにコントロール ができるが、作る人のレベルに合わせてしまい、結果レベルが低いものが出来上がる、といったことが 日常茶飯事なのではないかと思う。

このような状況になっているのには様々な理由がある。 市場構造についてはシステムインテグレーション崩壊 という本でまとめられていますので参考にしていただければと思います。

なので人材という視点で見てみると、下記のような特徴があるのではないかと思う

ツールさえ使えればいい

分析システムというのは、ITシステムに限るとソフトウェアの導入に重きがある。つまり分析ツールの基本的な使い方 さえわかれば、なんとなく使えるエンジニアっぽくなる。さらには基幹とは異なり、人口が少ないため比較的高単価で ビジネスができていた。(昔はね)

顧客のビジネスを考えない

設計の奥にあるものなんて考えず、与えられた設計をもとに作成する"製造マシーン"となっている。 分析システムは基本的にはSQLの世界だ。画面はツール側でうまくやってくれる(そのためHTML/CSSの知識はない、もちろんJavascriptもね) そもそもSEには"わかってなくていい内容"と決めつけている風習もある。

必ず使われるものというあぐら

一般的なWEBサイトでは利用者の利用ケースや使いやすさは考えない。 ツールでできることしか自分にはやれることはないと思っている

こんな組織の構造的な不幸から結果として人材の質やモチベーションに影響がでているのではないかと考えている。 そもそも社会人なんだからみんなプロ意識もってやってくれと思うのだが、IT業界の人材不足や誰でも人だしビジネスが 横行していることから、そんな人はまずいない。

ずいぶん悲観的なことを書いてしまったが、これは割合多くあてはまると思う。 今後こんな状況の中で、引き続き考えていきたいと思います。